I 基本的考え方
-
○ 平成14年度診療報酬改定は、賃金・物価の動向や最近の厳しい経済動向等を踏まえ、△1.3%の改定を行う。このため、基本診療料を含めた広範な項目についての合理化を行うとともに、医療の質の向上等の観点から重点的な評価を行う。 ○ 具体的には、効率的な医療提供体制の確保、患者の特性に応じた医療の評価、医療技術の適正評価などの観点から、所要の見直しを行うとともに、体系的な見直しを進める観点から、長期入院に係る保険給付の範囲の見直しや、特定機能病院等における医療機関別包括評価の導入、患者ニーズの多様化に対応するための特定療養費制度の見直しなどを行う。 ○ さらに、平成14年度薬価制度改革、保険医療材料制度改革に併せて、薬剤関連技術料の見直しや医療技術に係る施設要件の見直し等を行う。
II 主な改定内容
1 効率的な医療提供体制の評価
- (1)入院医療の評価
急性期入院医療の評価、患者の状態に応じた慢性期入院医療の評価等を通じ、入院医療の機能分化を図る。また、長期入院に係る保険給付の在り方を見直すとともに、特定機能病院等における医療機関別包括評価を導入する。
(2)外来医療の評価
外来の機能分化等の観点から、医科においては再診料・外来診療料等の評価について、歯科においてはかかりつけ歯科医機能や病院歯科との連携の評価について、調剤においてはかかりつけ薬局機能の評価について、それぞれ所要の見直しを行う。
2 患者の特性に応じた医療の評価
- (1)小児医療の評価
急性期の小児入院医療を評価する観点から小児入院医療管理料を再編するとともに、地域における小児夜間休日診療体制の確保を評価する観点から地域連携小児夜間・休日診療料を新設する。
(2)精神医療の評価
急性期の精神入院医療を評価する観点から、精神科救急入院料を新設するとともに、慢性期の精神入院医療や外来の精神科専門療法の質の向上を図る観点から評価を見直す。
(3)難病患者等に係る医療の評価
難病患者等に対する訪問看護の拡充を図るとともに、悪性腫瘍患者等に対する緩和ケア診療の評価を充実する。
3 医療技術の適正評価
- (1)手術料の体系的な見直し
人件費構成や技術難易度等の観点から、手術料の相対評価の見直しを行うとともに、医療の質の向上及び効率的な医療提供の観点から、年間症例数等の一定の施設基準を設定する手術の範囲を拡大する。
(2)リハビリテーションの体系的な見直し
早期リハビリテーションの評価の充実や回復期リハビリテーションの質の向上を図るとともに、患者の状態に応じた評価の体系化を図る。
(3)新規技術の保険導入
有効性・効率性が高い新規技術として、ポジトロン断層撮影(18FDGを用いた場合)、神経内視鏡手術などを新たに保険導入する。
(4)歯科固有の技術評価
歯科固有の技術の適正評価として、齲蝕治療の評価、歯周治療の評価、補綴物に関する技術の評価等の見直しを行う。
(5)調剤技術の評価
小児用製剤など患者ニーズに応じた調剤技術の評価を充実するとともに、内服薬に係る調剤料の見直しを行う。
4 薬剤使用の適正化と薬剤関連技術料の見直し
-
○ 長期投薬に係る規制を原則廃止するほか、後発医薬品の使用に係る環境整備を図る観点から、薬剤関連技術料の見直しを行う。
5 特定療養費制度の見直し
-
○ 患者ニーズの多様化等へ対応する観点から、予約診療の要件緩和、医療用具の治験や薬事法承認後保険収載前の医薬品の投与の特定療養費化などを行う。
III 各科の改定内容(主要項目)
1 効率的な医療提供体制の評価
(1)入院医療の評価
ア 質の高い急性期入院医療の評価
- (1) 救命救急センターの評価の見直し
救命救急入院料について、診療体制や診療内容に応じた評価の見直しを行う。
-
高度救命救急センターにおける加算 (新設) → 100点/日 充実段階B、Cの救命救急センターにおける減算
(新設)→ △500点/日
(2) 急性期入院加算等の施設基準の見直し
急性期入院医療の質の向上と効率化を図る観点から、急性期入院加算、急性期特定入院加算の要件として、診療録管理体制の整備や退院指導計画の作成・実施等を追加する。
(3) 特定集中治療室管理に係る評価の見直し
特定集中治療室管理料について、重症患者等の入院割合に応じた評価の見直しを行う。(平成15年4月施行)
重症患者等が一定割合以下の場合に特定集中治療室管理料の95%を算定 -
イ 患者の状態に応じた慢性期入院医療の評価
- 医療と介護の機能の明確化、長期療養に適した医療提供の確保の観点から、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料について、次の見直しを行う。
(1) 在院日数による逓減の見直し
・初期加算及び長期減算を廃止。(2) 包括範囲の見直し
・単純エックス線、簡単なリハビリ等について包括範囲を拡大。(3) 人員配置の評価の見直し
・看護配置5:1を標準とし、6:1は廃止。(平成15年4月施行)(4) 患者特性に応じた評価
・日常生活障害の有無、痴呆の有無を基本とした日常生活における介助の必要度に応じた評価を新設。-
日常生活障害加算 (新設) → 40点/日 痴呆加算 (新設) → 20点/日
※(1)及び(2)については、老人病棟入院基本料にも適用する。
-
ウ 長期入院に係る保険給付の範囲の見直し
- 入院医療の必要性は低いが、患者側の事情により長期にわたり入院している患者について、特定療養費制度の対象とし、保険給付の範囲を見直す。
(1) 対象者
一般病棟、療養病棟、老人病棟、有床診療所療養病床等への入院期間が180日を超える者(別に厚生労働大臣の定める状態にある者を除く。)
- (注)厚生労働大臣の定める状態(主なもの)
(1) 難病患者等入院診療加算を算定する患者 (2) 悪性新生物に対する腫瘍用薬(重篤な副作用を有するものに限る)を投与している状態 (3) 人工呼吸器を実施している状態にある患者
※平成14年3月31日以前の入院期間を有する者のうち、次の者については、平成16年3月31日までの間、対象から除外する。
- (注)厚生労働大臣の定める状態(主なもの)
-
平成14年4月1日から
平成15年3月31日まで平成14年3月31日以前の入院期間を有する者 平成15年4月1日から
平成15年9月30日まで入院期間の通算が3年以下の者 平成15年10月1日から
平成16年3月31日まで入院期間の通算が2年以下の者
- (2) 特定療養費として給付する額
入院基本料等の基本点数の85%
(3) 入院期間の計算
上記(1)の入院期間は他の保険医療機関での入院期間を含めて計算する。
エ 特定機能病院における医療機関別包括評価の導入
- 特定機能病院等における入院医療に係る支払い方式を、患者の疾病に応じた医療機関別の包括払いを原則とした方式とする。
概ね1年後を目途に導入を図ることとし、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る)は平成15年3月31日までの間において別に厚生労働大臣が定める日まで算定できるものとする。
オ 医療安全対策等の評価
- 医療安全管理体制の整備や褥瘡対策が行われていない場合に、入院基本料等から減算する仕組みを導入。(平成14年10月施行)
-
医療安全管理体制未整備減算 (新設) → △10点/日 褥瘡対策未実施減算 (新設) → △ 5点/日
-
カ 入院基本料等の見直し
妊娠右上痛
- (1) 平均在院日数要件の見直し(平成14年10月施行)
-
一般病棟入院基本料1 25日以内 → 21日以内 一般病棟入院基本料2 28日以内 → 26日以内 急性期入院加算、急性期特定入院加算 20日以内 → 17日以内
(2) 看護体制の評価の見直し
- ○ 夜間看護体制の評価の見直し
-
看護配置10:1の評価の新設 (新設) → 72点/日
○ 有床診療所の看護体制の評価
-
有床診療所入院基本料1に、看護婦3人以上の加算を導入。 (新設) → 15点/日
-
- ○ 結核病棟入院基本料
-
※多剤耐性結核患者については減算の対象外とする。入院期間が90日を超える場合の減算を導入。 (新設) → △30点/日
○ 専門病院入院基本料
- I群の入院基本料3,4,5及びII群を廃止。
○ 障害者施設等入院基本料
- 入院期間が180日以上の場合の減算を廃止。
I群を廃止
○ 老人病棟入院基本料
- 平成14年3月31日までに届け出ている保険医療機関に限り、当該病棟に入院している患者について算定を可能とする。(医療法の改正に伴い、平成15年8月31日で廃止)
○ 複合病棟に係る基準と入院料
- 平成14年3月31日までに届け出ている保険医療機関に限り、当該病棟に入院している患者について算定を可能とするほか、看護職員配置等に係る所要の見直しを行う。(平成15年4月施行)
-
-
(2)外来医療の評価
ア 再診料・外来診療料の見直し
- 外来の機能分担、医療機関への受診回数等の観点から、再診料と外来診療料に月内逓減制による評価を導入する。
再診料
-
診療所 74点 → イ 月の1回目の受診 81点 ロ 月の2回目又は3回目の受診 74点 ハ 月の4回目以降の受診 37点 病院(200床未満) 59点 → イ 月の1回目の受診 65点 ロ 月の2回目又は3回目の受診 59点 ハ 月の4回目以降の受診 30点 ※ 15歳未満の患者その他別に厚生労働大臣が定める患者については、月の4回目以降の受診の場合もロに掲げる所定点数を算定する。
-
外来診療料 70点 → 月の1回目の受診 77点 月の2回目以降の受診 15歳未満の患者等 70点 その他の患者 35点
-
イ 大病院の再診に係る特定療養費制度の導入
- 200床以上の病院における再診について一定の条件を満たす場合に特定療養費制度の対象とする。
(注)一定の条件
診療所又は他の病院(200床未満)に対して文書による紹介を行う旨の申し出が患者側に対して行われている場合 等
(3)在宅医療
- (1) 在宅気管切開患者に対する指導管理の評価
-
在宅気管切開患者指導管理料 (新設) → 900点
(人工鼻加算 1,500点)
(2) 在宅自己注射指導管理料の再編
-
1 院外処方の場合 820点 → 820点 2 1以外の場合 950点 注射針加算
イ 160点
ロ 80点※イ:治療上の必要があって1型糖尿病、血友病患者等に注射針を処方した場合
ロ:イ以外の場合
(3) 在宅医療機器の適正化に伴う評価の見直し
-
携帯用酸素ボンベ加算 1,200点 → 990点 自動腹膜灌流装置加算 2,700点 → 2,500点 酸素濃縮装置加算 5,500点 → 4,620点 等
-
2 患者の特性に応じた医療の評価
(1)小児医療の充実
ア 入院医療の評価
- (1) 小児入院医療管理料の再編
急性期の小児入院医療提供体制を評価する観点から小児入院医療管理料を再編。
-
小児入院医療管理料1 (新設) → 3,000点/日 小児入院医療管理料2 (新設) → 2,600点/日 小児入院医療管理料3 2,100点/日 → 現行どおり ※主な施設基準
小児入院医療管理料1:平均在院日数14日以内、看護配置1.5:1以上等
小児入院医療管理料2:平均在院日数28日以内、看護配置2:1以上等
(2) 療養環境の評価
感染症に罹患している場合や免疫力が低下している場合など、療養環境に特別な配慮の必要な小児患者の入院医療を評価。
-
小児療養環境特別加算 (新設) → 300点/日
(3) 児童・思春期精神医療の評価
児童・思春期の精神医療について手厚い医療提供体制を評価。
-
児童・思春期精神科入院医療管理加算 (新設) → 350点/日 ※主な施設基準
看護配置2:1以上、各病棟に精神保健指定医、精神保健福祉士、臨床心理技術者の配置、院内に学習室の設置など
-
イ 外来医療の評価
- (1) 地域における小児夜間・休日診療体制の確保
一定の要件を満たす医療機関において、地域の小児科医が連携して小児夜間・休日診療体制を確保し、時間外、深夜等に6歳未満の患者を診察した場合の診療を評価。
-
地域連携小児夜間・休日診療料 (新設) → 300点 ※算定要件
・近隣の医療機関を主たる勤務先とする医師が5人以上登録。
・時間外、深夜、休日に小児診療を交替で担う医師数の合計が10名以上
・緊急に入院の必要な患者に対する病床を確保 等
(2) 紹介率計算方法の見直し
小児救急患者の受け入れが、医療機関の紹介率の低下につながらないよう、紹介率計算方法を見直し。
-
(2)精神医療の質の向上
ア 入院医療の評価
- 急性期における入院医療の評価を充実するともに、慢性期における入院医療について評価の見直しを行う。
(1) 精神科救急入院料の新設
重症の精神科救急患者を多く受け入れる基幹的医療機関の評価を充実。
-
精神科救急入院料 (新規) → 2,800点/日 ※算定要件
・病院に5名以上、各病棟に1名以上の精神保健指定医
・看護配置2:1以上
・各病棟に2名以上の精神保健福祉士等
・措置入院、緊急措置入院、応急入院等の受け入れ実績 等
(2) 精神科急性期治療病棟入院料の要件の見直し
- アルコール依存症等の患者について対象から除外。
精神科救急医療システムへの参加を新たに要件とする。
(3) 精神療養病棟入院料の見直し
-
精神療養病棟入院料1 看護婦比率 0% → 20%
-
イ 外来医療の評価
- (1) 通院精神療法
-
病院 340点 → I 500点 (病院・診療所共通) 診療所 392点 II 320点 (病院) 370点 (診療所) ※Iは精神保健指定医等により初診が行われた場合に限り算定。
(2) 心身医学療法
-
(外来) 90点 → 初診時
再診時110点
80点※算定回数制限
初診日から4週間以内の場合 週2回 4週間を超える場合 週1回
-
(3)難病患者等の医療の確保
- (1) 難病患者等に係る訪問看護の確保
神経難病等の患者について、2カ所の訪問看護ステーションからの訪問看護を実施した場合の算定を認める。
(2) 緩和ケア診療の評価の充実
産後産後うつ
一般病棟に入院している悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群患者に対する緩和ケアチームによる診療を評価。
-
緩和ケア診療加算の新設 (新設) → 250点/日
(4)生活習慣病等への対応
- (1) 生活習慣病指導管理料の新設
高血圧等の生活習慣病を主病とする患者に対して治療計画に基づき生活習慣に関する総合的な指導及び治療管理を行った場合に月1回に限り算定。
-
高脂血症 高血圧症 糖尿病 処方せんを交付する場合 1,050点 1,100点 1,200点 それ以外の場合 1,550点 1,400点 1,650点
(2) 慢性維持透析の見直し
実施時間による評価を廃止し、障害等により特別の対応等が必要な者に対する重点化を図る。
人工腎臓(1日につき)
(例)入院外の血液透析
-
4時間未満 1,630点 4時間以上5時間未満 2,110点 → 1,960点 5時間以上 2,210点
障害者加算の対象の見直し
- 人工呼吸器を使用中の者、重症心不全患者、妊娠中期以降の妊婦等を追加。
食事加算の廃止
(3) 慢性疼痛疾患管理料の新設
-
慢性疼痛疾患管理料 (新設) → 130点/月 ※変形性膝関節症、筋筋膜性腰痛症等、慢性疼痛を主病とする入院外患者に疼痛管理を行った場合に算定。(消炎鎮痛等処置等にかかる費用を包括)
-
3 医療技術の適正評価
(1)手術料の体系的な見直しと施設基準の見直し
ア 手術料の相対関係の見直し
- 人件費構成、技術難易度、材料費等のコスト分析に基づき、手術料各項目の相対関係の評価の見直しを行う。
イ 手術に係る施設基準の見直し
- 医療の質の向上及び効率的な医療提供の観点から、一定の施設基準(年間症例数、医師の経験年数等)を設定する手術の範囲を拡大する。
-
(現行) (見直し後) 施設基準を設定する手術項目 18項目 → 110項目 ※施設要件を満たさない施設においては、手術料について既定点数の70%を算定。
※次の5分野については、別途施設基準を設定する。- 経皮的冠動脈形成術等
- ペースメーカー移植術・交換術
- 人工関節置換術
- 体外循環を要する心臓血管外科手術等
- 乳児の外科手術
-
(2)リハビリテーションの体系的な見直し
ア リハビリテーションの評価の適正化
- 従来の実施時間を中心とした評価を見直し、患者の症状に応じたリハビリテーションを適切に評価する観点から、体系的な見直しを行う。
(1) 個別療法、集団療法の別による評価の体系化
-
I II III IV 個別療法(1単位) 250点 180点 100点 50点 集団療法(1単位) 100点 80点 40点 35点
※20分を1単位とする。
※定期的な計画の見直し、効果判定等を算定要件に追加。
(2) 早期リハビリテーションの評価の充実
-
発症後14日以内 100点 (1単位につき) 発症後15日以上30日以内 80点 (1単位につき) 発症後31日以上90日以内 30点 (1単位につき)
-
イ リハビリテーションにかかる施設要件の見直し
理学療法士や作業療法士の増加を踏まえ、また、都市部における質の高いリハビリテーションの確保等の観点から、現行の総合リハビリテーション施設の要件を見直し、現行の類型の他、訓練室面積要件を緩和し、高い人員配置を要件とした類型を設ける。
(3)新規技術の保険導入
(主な新規技術)
-
等・ポジトロン断層撮影(18FDGを用いた場合) 7,500点 ・中枢神経磁気刺激による誘発筋電図 400点 ・光トポグラフィー 670点
4 薬剤使用の適正化と薬剤関連技術料の見直し
(1)薬剤投与期間等に係る規制の見直し
○ | 慢性疾患の増加に伴う投薬期間の長期化等を踏まえ、薬剤投与期間に係る規制を原則、廃止する。 |
- ※例外として次の医薬品については投与期間の制限を設ける。
- 麻薬及び向精神薬
- 薬価基準収載後1年以内の医薬品
(2)薬剤関連技術料の見直し
医薬分業の進展を踏まえつつ、後発医薬品の使用環境整備の観点から、処方せん料の見直しを行う。
-
処方せん料I 53点 → 43点(後発品を含む処方)
41点(その他)処方せん料II 81点 → 71点(後発品を含む処方)
69点(その他)
5 医療に係る情報提供の推進
- (1) 入院診療計画の評価
- 入院診療計画未実施減算の対象となる入院料に特定入院料を追加。
(2) 診療録管理体制の評価
- 急性期入院加算、急性期特定入院加算の要件として、診療録管理体制加算の届出を追加。
(3) 205円ルールの見直し
- 診療報酬請求事務の透明化の観点から、205円ルール(※)について、次の見直しを行う。
※診療報酬請求に当たり、明細書等に薬剤名等の記載の省略を認めるルール
イ 医事会計システムの電算化が行われている保険医療機関、保険薬局については、205円ルールを適用しないこととする。 ロ 医事会計システムの電算化が行われていないため、従来から手書きにより請求が行われている保険医療機関、保険薬局については、届出を行った上で、175円以下について、適用を認める。
6 特定療養費制度の見直し
- 患者ニーズの多様化等に対応する観点から、特定療養費制度の見直しを行う。
- (1) 予約診療
- 予約診療に係る時間制限の緩和などを行う。
(2) 200床以上の病院における再診(再掲)
(3) 医療用具の治験
- 医療用具の治験に係る費用の一部について、特定療養費の対象とする。
(4) 薬事法承認後であって保険収載前の医薬品投与
- 薬事法上の承認を受け、薬価基準への収載を希望している医薬品の投与に係る費用について、一定の条件の下に特定療養費制度の対象とする。
7 その他
(1)検体検査、画像診断等の適正化
- (1) 市場実勢価格を踏まえた検体検査料の適正化
(2) 画像診断の評価の見直し
- ・CT、MRIの評価の適正化
単純CT撮影 (頭部) 655点 → 620点 単純MRI撮影(頭部) 1,660点 → 1,140点
- ・CT、MRIの評価の適正化
(2)包括評価の見直し
- 薬剤、検査料等を包括した包括点数の評価の見直し等を行うほか、簡単な処置等についての評価の見直しを行う。
(1) 包括点数の見直し
○ 寝たきり老人在宅総合診療料(在総診)
-
院外処方せんを交付する場合 2,300点 → 2,290点 院外処方せんを交付しない場合 2,600点 → 2,575点
○ 老人慢性疾患外来総合診療料(外総診)、老人慢性疾患外来共同指導料を廃止する。(平成14年10月施行)
(2) 消炎鎮痛等に係る処置の評価の見直し
消炎鎮痛等処置(1日につき)の新設
-
イ マッサージ等の手技による療法 35点 ロ 器具等による療法 35点 ハ 湿布処置 1 半肢の大部等にわたるもの
2 その他もの35点
24点
※イ〜ハを併せて行った場合は、主たるもののみ算定。
※ロ、ハについては、月5回目以降逓減。
-
(3)情報通信技術を活用した遠隔診療等の評価
YAZおよび体重減少
- (1) へき地、離島における遠隔診療の評価
○ テレパソロジーによる術中迅速病理検査について、受診施設の要件を臨床研修指定病院、へき地中核病院等に拡大。 ○ へき地・離島等において画像撮影を行った医療機関が連携医療機関に画像を送信し、連携医療機関において診断が行われた場合に、送信側の医療機関において撮影料の他に、診断料及び画像診断管理加算を算定できることとする。 (2) 救急用ヘリコプターによる搬送の評価
患者を救急用のヘリコプター(※)で搬送する際に同乗して診療を行った場合に救急搬送診療料を算定できることとする。
※都道府県の実施するドクターヘリ導入促進事業によるもの。
1 効率的な医療提供体制の評価
(1)かかりつけ歯科医機能と病院歯科機能の適正評価
ア かかりつけ歯科医機能の評価
- 患者への効果的な情報提供及び継続的な歯科医学的管理の充実を図る観点から見直 しを行う。
(1)かかりつけ歯科医初診料の算定要件の見直し
- 患者への説明方法として、スタディモデル又は口腔内写真と同等で、患者がより的確に病態や治療方針等を理解できる有効な方法を追加。
うしょく
(2)初期齲蝕治療等におけるかかりつけ歯科医機能の評価- 初期齲蝕治療等において、かかりつけ歯科医機能を評価した加算を創設。
(2(1)を参照)
イ 高次歯科医療を担う病院歯科との有機的連携の評価
- 一定の外来手術を必要とする患者について、かかりつけ歯科医と病院歯科医が共同で行う治療管理を評価する。
-
(新設) → 病院歯科共同治療管理料I 320点 (かかりつけ歯科医) 病院歯科共同治療管理料II 200点 (病院歯科)
-
ウ 高次歯科医療を担う病院歯科の画像診断管理の評価
- 一定の施設基準を満たす病院歯科において、画像診断を専任で担当する常勤の歯科医師が画像診断を行い、その結果を文書により報告した場合に加算を行う。
-
(新設) → 画像診断管理加算 48点/月
-
エ 初・再診料の見直し
- ○ 初診料
-
かかりつけ歯科医初診料 270点 → 現行どおり 歯科初診料 186点 → 180点 病院歯科初診料 1 250点 → 現行どおり 病院歯科初診料 2 218点 → 現行どおり
○ 再診料
-
かかりつけ歯科医再診料 40点 → 現行どおり 歯科再診料 38点 → 現行どおり 病院歯科再診料 1 61点 → 59点 病院歯科再診料 2 50点 → 48点
-
(2)歯科訪問診療の質の向上と適正化
ア 歯科訪問診療の適正化
- 歯科訪問診療の普及状況を踏まえ、歯科訪問診療料の適正評価を行うとともに、対象患者や要件等の明確化を図る。
(1)歯科訪問診療料の見直し
-
歯科訪問診療料1 920点 → 830点 歯科訪問診療料2 400点 → 380点
(2)対象患者の明確化
- 通院が困難な患者
→ 常時寝たきりの状態又はこれに準ずる状態であって居宅又は社会福祉施設等において療養を行っており、疾病、傷病のため通院による歯科治療が困難な者。
(3)歯科訪問診療に係る要件の整理
- 療養中の患者が居住している屋内での診療に限るなど、患者の居宅からの移動を伴わない場合に限定。
(4)歯科訪問診療における加算の算定範囲の見直し
- 歯科訪問診療で行われる応急処置を加算の主たる対象とする。
→抜髄、抜歯、有床義歯調整・指導、有床義歯修理 等
-
イ 訪問歯科衛生指導の適正評価
- 歯科衛生士等による訪問歯科衛生指導について、訪問指導計画の策定を評価することにより指導内容の質の向上と適正化を図る。
訪問歯科衛生指導料(月4回まで)
-
※「訪問指導計画」の策定を算定要件として追加。1 複雑なもの 500点 → 1回目
2回目以降550点
300点2 簡単なもの 80点 → 現行どおり
-
2 歯科医療技術の適正評価
(1)初期齲蝕進行抑制の評価
-
○ 初期齲蝕の早期治療、進行抑制、再発抑制を図る観点から、かかりつけ歯科医による初期齲蝕の進行抑制等に係る技術の評価を充実する。 しょうかれっこうてんそく
(1)初期齲蝕小窩裂溝填塞処置108点 - 継続的な歯科医学的管理の下に行った場合に12点の加算を新設。
(2)歯科衛生実地指導料 80点 - 継続的な歯科医学的管理の下に行った場合に20点の加算を新設。
(3)継続的歯科口腔衛生指導料
96点 → 105点(4)歯科口腔衛生指導料
90点 → 100点
(2)齲蝕治療の評価の見直し
-
(1)齲蝕歯即時充填形成 120点(1歯につき) - 継続的な歯科医学的管理の下に行った場合に5点の加算を新設。
(2)算定単位の適正化 - 充填に係る算定単位を1窩洞単位から1歯単位に見直す。
(3)歯周疾患に係る治療、指導管理の評価の見直し
- 歯周疾患に係る指導管理の適正化を図るとともに、病状安定後の再発防止を図る観点から、生活指導等を含めた総合的、継続的な治療管理を評価
ア 歯周疾患に係る指導管理料の統合
-
歯周疾患基本指導管理料(初診月) 90点
歯周疾患継続指導管理料(再診月)130点→ 歯周疾患指導管理料 110点
イ 歯周疾患のメインテナンスに係る総合評価の新設
- (1)歯周疾患継続治療診断料
初診から3ヶ月以上経過し病状が安定している場合に、患者の同意を得てメインテナンス計画を策定し、患者に対して文書で情報提供した場合に算定
-
(新設) → 歯周疾患継続治療診断料 100点
(2)歯周疾患継続総合診療料
歯周疾患継続治療診断に基づくメインテナンス計画に基づき、歯周組織検査、歯周基本治療、指導管理等の治療管理が行われた場合に算定
(再診料、歯周組織検査、歯周疾患の処置、歯周基本治療等の費用を包括)-
(新設) → 歯周疾患継続総合診療料 1 10歯未満 310点/月 2 10歯〜20歯未満 450点/月 3 20歯以上 620点/月
-
(4)手術の評価
- 医科・歯科共通の手技料について、医科と同様の体系とする。
(5)歯及び補綴物の長期維持に関する基本的技術の評価
- 歯や補綴物の長期維持を図る観点から、齲蝕治療における歯髄保護や、冠の土台となる支台築造等の評価を充実する。
(1)歯髄保護治療の評価の見直し
-
しずいふくとう
歯髄覆罩(1歯につき)25点→ 歯髄覆罩(1歯につき) 1 直接歯髄覆罩 70点 2 間接歯髄覆罩 25点
(2)歯冠補綴等に係る評価の見直し
- ・金属材料による支台築造歯についての歯冠形成を加算により評価。
・前歯の歯冠形成後の保護等に係る技術を歯冠形成の加算により包括して評価。
(3)歯冠修復・補綴物の製作に関する技術評価
-
-
- (1)義歯等補綴物の製作技術に関する評価を行う。
- (主な例)
イ 連合印象 200点 → 225点 ロ 咬合採得(有床義歯:多数歯欠損) 140点 → 160点 ハ インレー(複雑なもの) 262点 → 275点 ニ 局部床義歯9〜11歯 875点 → 890点 ホ 線鉤(双歯鉤) 180点 → 185点
(2)修復形態に応じた適用部位の見直し
・ブリッジの支台を除き5分の4冠の適用部位を小臼歯とする。
(6)補綴物の評価
ア 補綴物維持管理の評価の見直し
- 補綴物の長期維持管理の充実を図る観点から、評価の見直しを行う。
(1)補綴物維持管理の未実施施設における技術料の評価の適正化
- 補綴物維持管理の未実施施設における歯冠補綴物等の製作に係る一連の技術については、所定点数の70%で算定。
- 補綴物維持管理の未実施施設における加圧根管充填加算の算定制限。
- 補綴物維持管理の未実施施設における歯冠補綴物等の製作に係る一連の技術については、所定点数の70%で算定。
(2)歯冠補綴物等装着歯に係る維持管理の評価
- 補綴物維持管理中の補綴物の脱離再装着、対象歯の充填治療については、補綴物維持管理料に包括化。
イ 有床義歯の製作に係る技術評価の見直し
- 印象採得等の困難な場合の加算、遊離端義歯等の装着に係る加算、補強線やろう着等の製作に関する技術評価を包括する。
3 患者の特性に応じた医療の評価
(1)老人の特性に基づく歯周治療等の技術評価
- 老人の歯の保持、歯周組織の健全化を図る観点から歯周組織検査等の評価を見直す。
-
歯周組織検査を行った場合は、 → 老人歯周組織検査 種類、回数にかかわらず、 1歯以上10歯未満 50点 50点加算。 10歯以上20歯未満 110点 20歯以上 200点
-
(2)矯正治療の見直し
- 矯正治療の適用疾患として、現行の唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)の他に、第一・第二鰓弓(さいきゅう)症候群などの先天性疾患を追加する。
4 薬剤使用の適正化と薬剤関連技術料の見直し
- 医科と同様の見直しを実施
5 医療に係る情報提供の推進
- (1)かかりつけ歯科医初診料の見直し(再掲)
患者への効果的な情報提供を図る観点から見直し(2)歯周疾患のメインテナンスに係る総合評価
患者への文書でのメインテナンス計画等の情報提供(3)205円ルールの見直し
医科と同様の見直しを実施
6 特定療養費制度の見直し
- 医科と同様の見直しを実施
1 効率的な医療提供体制の評価
(1)かかりつけ薬局機能の明確化
- かかりつけ薬局機能の明確化を図る観点から、薬剤服用歴管理・指導料について、重複投薬・相互作用防止など患者への服薬指導に重点化した評価を行う。
ア 薬剤服用歴管理・指導料の見直し
-
薬剤服用歴管理・指導料 22点 → 17点 -
・特別指導加算 20点 → 月の1回目 30点 月の2回目以降 25点 ・麻薬指導加算 (新設) → 5点 ・重複投薬・相互作用防止加算 10点 → I 20点 II 10点 ※ I:処方の変更が行われた場合 II:処方の変更が行われなかった場合 ・服薬情報提供料 15点 → I 15点 II 30点 ※ I:患者の同意を得て医師に服薬状況に関する情報提供を行った場合 II:患者の同意を得て医師に服薬状況及び服薬指導内容に関する情報提供を行った場合
※患者の同意を得て医師に調剤に関する情報提供を行った場合・調剤情報提供料 (新設) → 15点
-
イ 長期投薬特別指導料の見直し
- 長期投薬に係る制限の見直しに伴い、患者に対する継続的な情報提供及び服薬指導の実施を評価する。
-
※1は処方せん受付時、2は次回処方せん受付時に算定。長期投薬特別指導料 30点 → 長期投薬情報提供料1 15点 長期投薬情報提供料2 25点
14日分を超える投薬に限る。
-
(2)在宅医療の評価
- 在宅患者に対するきめ細かい服薬指導を評価する観点から、在宅患者訪問薬剤管理指導料を見直す。
在宅患者訪問薬剤管理指導料
-
550点(月2回に限る) → 月1回目 500点 月2回目以降
(月4回まで)300点
-
2 調剤技術の適正評価
(1)内服薬に係る調剤料の見直し
- 内服剤(1剤につき3剤まで)
イ 14日分以下の場合 7日目以下の部分(1日分につき) 6点 → 5点 8日目以上の部分(1日分につき) 4点 → 4点 ロ 15日以上21日分以下の場合 75点 → 70点 ハ 22日分以上30日分以下の場合 80点 → 80点 ニ 31日分以上60日分以下の場合 80点 → 90点 ホ 61日分以上90日分以下の場合 80点 → 95点 ヘ 91日分以上の場合 (新設) → 95点
(2)患者の心身の特性に応じた調剤技術の評価
- 小児や嚥下困難者など、患者の心身の特性に応じた調剤技術を評価。
-
(1)計量混合調剤加算
(例)散剤の場合-
40点 → 乳幼児の場合
乳幼児の以外の場合90点
45点
(2)嚥下困難者用製剤加算 (新設) → 80点 (3)一包化加算の対象等の拡大 -
一包化加算 35点(老人のみ) → 30点 (一般・老人) (調剤ごと) → (7日分ごと)
-
-
3 後発医薬品の使用にかかる環境整備の推進
- 後発医薬品の使用環境整備の観点から、品質情報の患者への説明、後発医薬品の調剤についての評価を行う。
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(1)医薬品品質情報提供料 (新設) → 10点(処方せん受付ごと)
- 後発医薬品に関する主たる情報を文書等で患者に提供し、患者の同意を得て後発医薬品を調剤した場合に算定。
-
(2)後発医薬品の調剤にかかる加算 (新設) → 2点(1調剤につき)
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4 特定療養費制度の導入
-
○ 薬事法承認後であって保険収載前の医薬品投与
薬事法上の承認を受け、薬価基準への収載を希望している医薬品の投与に係る費用について、一定の条件の下に特定療養費制度の対象とする。
5 その他
- (1)205円ルールの見直し
医科と同様の見直しを実施(2)その他
調剤基本料に係る減額措置及び多剤投与の逓減措置を廃止するとともに、基準調剤の施設基準について所要の見直しを行う。
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